2014年3月17日月曜日

お湯を冷やす(2)

せっかくなので前回の問題を解いてみた.

容器にお湯を入れ,棒温度計で測ることにする.
  • 気温をT_a, 初期水温をT_w0, 温度計の初期温度をT_0とする.
  • 水の熱容量が温度計の熱容量にくらべ十分大きく,温度計で測ることにより水温が変化することはないものとする.
  • お湯と空気,お湯と温度計の間の熱伝達の速度はそれぞれ両者の温度差に比例すると仮定する.
これらの仮定から,温度計の読み(=温度計の温度)T, 水温T_wについて以下の微分方程式が得られる.

dT/dt=-α(T-T_w)
dT_w/dt=-β(T_w-Ta)

ばねます系と同じ1階の線形連立常微分方程式.これを解くと,

T=T_a + ((T_0-T_a)-(α/(α-β))(T_w0-Ta))exp(-αt)+(α/(α-β))(T_w0-Ta)exp(-βt)
T_w=T_a+(T_w0-Ta)exp(-βt)

を得る.(α=βの時は解はこれとは異なる形になるのだけれど,そもそもα≦βだと温度計が水温の変動に追随しきれなくなってナンセンスなのでここでは考えない)

Tの式を見ると,定数の第一項,速やかに0に収束する第2項,緩やかに0に収束する第3項の和になっている.また,第3項はT_wの式の定数倍になっている.これらのことから,温度計の読みはまず急激に水温に近づき,その後水温に追随して室温に近づいていく,というおおまかな挙動が分かる.

α=0.1 sec^-1, β=0.001 sec^-1, T_0=15.0℃, T_a=11.0℃, T_w0=77.0℃ としてグラフを書いてみるとFig.1のようになる.(赤が水温,青が温度計の読み)

Fig.1 

うむ,前回の実験とよく似た曲線が得られている.まぁほんとは実験にフィットさせて初めて説明できたってことになるんだけど,そのためにはα,βを求める実験やらなきゃなのでとりあえずここまで.

なお,α>>βと仮定すると,α/(α-β)~1よりTの式は

T=T_a+(T_0-T_w0)exp(-αt)+(T_w0-T_a)exp(-βt)

となる.正確さには欠けるけれどもグラフの雰囲気をつかむにはこちらの方がいいかも.



追記:こちらのまとめ「「温度計の示度は気温の変化に遅れて指数関数的に平衡値に近づく」の?」の後ろの方に任意の水温変化に対する温度計の応答の解が紹介されている.

0 件のコメント:

コメントを投稿