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2014年4月5日土曜日

水の温度を測る(氷水の温度を測る の続き)

予告通り?またしても水の温度を測る実験をやってみた。今回は、4℃の氷水とほぼ室温の水を用意して、温度計を氷水で冷やしておいたあと、室温の水に入れ、時々刻々の読みの変化を記録した。
Fig.1 氷水の温度
氷水の温度はこの通り(Fig.1)。うっかり冷やしすぎたのであとから少し水を足して調節した。

Fig.2 実験風景(再現)
室温の水を用意するために、丼(Fig.2)に水を張って数時間放置した。実験前に予備的に測ってみたところ室温よりは1℃ほど低かったようだが、実験に支障をきたすほどの急な温度変化はないだろう。で、結果は以下の通り(Fig.3)。

Fig.3 実験結果
最初の100秒のデータを使って、ΔT=C・exp(-αt)にフィッティングしてみたところ、α≒0.046を得た。これは前回の結果に近い。log(10)/α≒50だから、50秒待てば温度計の読みと水温の差は最初の1/10になるということだ。ただし、前回もそうだったが指数関数によるフィッティングでは最初の10秒の急激な変化をぜんぜん再現できないので、実際には20秒程度まてばOKなんじゃないだろうか。
というわけで、棒温度計の特性はだいたいわかってきたけど、単純な指数関数による近似では限界があるなあ。

2014年4月3日木曜日

氷水の温度を測る

温度を測るシリーズ、いったん終了と見せかけて実はしつこく続いていたのだった。

お湯を冷やす(2)の中で使った式に現れる定数のうち,温度計の応答速度を表す定数であるαは温度を一定とした水の温度を測ることで調べることができる。というわけで、氷水を入れたガラス瓶を用意してほぼ常温を示している温度計を突っ込み,10秒ごとにその温度を測ってみた。

ポットを使うことも考えたけど,温度を測るために口をあけていると結構温度が下がるので,ここでは氷水を使うことにした.潜熱による熱容量の大きさがバッファになると期待.あとやってみて気が付いたのだけど,水の比重は4℃で最低になるので,うまく水と氷の量を調節して,かつかきまぜたりしなければ,底に近い所の水は常に4℃付近になる(冬の湖と同じ).

ガラス瓶の質量は135g(前回使用したのと同じビンなんだけど計るたびに値が微妙に変わるのは秤の精度がそこまでないため),実験は3回行い,水+氷の量はrun1で155g, run2,3で145g(同じ水+氷を続けて使用).室温は約22℃だった.

というわけで結果がこちら(Fig.1).0秒では温度計はほぼ室温を示していたのは確認したのだが,正確な値を記録していなかったのでプロットはしていない.
Fig.1 氷水の温度を測った結果


run2だけ途中4℃からじわじわ温度が下がっているけれど,これは氷の量が多く,しかも途中温度計を動かしてしまい水が混ざってしまったためだろう.今は温度計の支持具が無いので手で持って測っている.これだと温度計の位置が安定しないし持ち替えるときなどに意図せずかきまぜてしまうので,次回は番線か何かで支持具を作ってみようと思う.

さて,ここで定数αを求める為,run1と3について,LibreOfficeの機能を使って実験結果を指数関数でフィッティングしてみた結果がこちら(Fig2, 3).グラフの横軸は経過時間(秒),縦軸は温度計の読みと水温(4℃)との差(℃)で,前回の仮定が正しければf(t)=A・exp(-αt)にフィットさせることができるはずである.
Fig.2 指数関数によるフィッティングの結果(全データ使用)

Fig.3 指数関数によるフィッティングの結果(開始後60秒までのデータのみ使用)

ちっとも合わない(-_-;とりあえずαの値は,全データを使用した時0.016 1/s,最初の1分のデータを使用した時0.04 1/s程度であったが,おおよその目安にはなるものの胸を張ってあってますとは言い難いなあ.ちなみにα=0.04とは,誤差が測り始めの1/10になるのに約1分かかるということを表している

ところで,実験のあとで気が付いたけど,温度計の方を加熱あるいは冷却しておいて,常温に戻る様子を観察するほうが実験としては簡単だったかもしれない.というか次回にでもやってみよう.(←まだ続くのか

2014年3月17日月曜日

お湯を冷やす(2)

せっかくなので前回の問題を解いてみた.

容器にお湯を入れ,棒温度計で測ることにする.
  • 気温をT_a, 初期水温をT_w0, 温度計の初期温度をT_0とする.
  • 水の熱容量が温度計の熱容量にくらべ十分大きく,温度計で測ることにより水温が変化することはないものとする.
  • お湯と空気,お湯と温度計の間の熱伝達の速度はそれぞれ両者の温度差に比例すると仮定する.
これらの仮定から,温度計の読み(=温度計の温度)T, 水温T_wについて以下の微分方程式が得られる.

dT/dt=-α(T-T_w)
dT_w/dt=-β(T_w-Ta)

ばねます系と同じ1階の線形連立常微分方程式.これを解くと,

T=T_a + ((T_0-T_a)-(α/(α-β))(T_w0-Ta))exp(-αt)+(α/(α-β))(T_w0-Ta)exp(-βt)
T_w=T_a+(T_w0-Ta)exp(-βt)

を得る.(α=βの時は解はこれとは異なる形になるのだけれど,そもそもα≦βだと温度計が水温の変動に追随しきれなくなってナンセンスなのでここでは考えない)

Tの式を見ると,定数の第一項,速やかに0に収束する第2項,緩やかに0に収束する第3項の和になっている.また,第3項はT_wの式の定数倍になっている.これらのことから,温度計の読みはまず急激に水温に近づき,その後水温に追随して室温に近づいていく,というおおまかな挙動が分かる.

α=0.1 sec^-1, β=0.001 sec^-1, T_0=15.0℃, T_a=11.0℃, T_w0=77.0℃ としてグラフを書いてみるとFig.1のようになる.(赤が水温,青が温度計の読み)

Fig.1 

うむ,前回の実験とよく似た曲線が得られている.まぁほんとは実験にフィットさせて初めて説明できたってことになるんだけど,そのためにはα,βを求める実験やらなきゃなのでとりあえずここまで.

なお,α>>βと仮定すると,α/(α-β)~1よりTの式は

T=T_a+(T_0-T_w0)exp(-αt)+(T_w0-T_a)exp(-βt)

となる.正確さには欠けるけれどもグラフの雰囲気をつかむにはこちらの方がいいかも.



追記:こちらのまとめ「「温度計の示度は気温の変化に遅れて指数関数的に平衡値に近づく」の?」の後ろの方に任意の水温変化に対する温度計の応答の解が紹介されている.

2014年3月15日土曜日

お湯を冷やす

いろいろやってみて思ったのだが、どうも温度計の目盛りを読む前に温度そのものが変化してしまっているっぽい。そこで、実際温度計の読みが時間がたつにつれてどのように変化するか調べてみた。



ガラス瓶(132.5g)に100gの湯を入れ、温度計を挿入してから10秒ごとに値を読み取った。
ちなみに気温は11.0℃、水道水温は9.0℃だった。ちょっと寒い。

結果はFig.1の通り。水温は1分当たり3度くらい下がる。一方で温度計が水温になじむまでには3~40秒かかっている。
Fig.1

時系列の途中を取り出して線形近似し、外挿によって元の水温を推定してみると約77.1℃になった(Fig.2)。この値は温度計の最大の読み取り値と比較すると2℃ほど高い。
Fig.2
というわけで、温度計が水温に追随するのに時間がかかり、その間に起こる温度変化が無視できないことが、これまでの実験の誤差の主要な原因の一つらしい、ということが分かった。

誤差を減らすには上でやったように複数回計って外挿してやればよいわけだけど、昔理科の実験でそんなめんどくさい事をやった記憶はないなあ。もっと手っ取り早い方法はないのかな。(対象の数だけ温度計を複数用意して予熱しておくとか…?)

追記:生データはこちら(Table 1)。
Table 1

2014年3月14日金曜日

水と湯を混ぜる(2)

容器を通して熱が逃げるのを抑制するためにポットの中で水を混ぜてみた.




ちなみに気温15℃, 水温(蛇口)10℃,熱量は0℃基準.

やっぱり誤差が2℃近くある.初回は3~7℃程度誤差があったので全く進歩していないわけではないけれども.

ところで,「中学校理科の授業記録」というウェブサイトを見つけた.水とお湯を混ぜる実験が紹介されている.


ここでも理論値と実験値はよく一致している(1℃以内)…なんでうちの実験はだめなんだー

2014年3月13日木曜日

水と湯を混ぜる

おちさんは実験にガラス容器を使ってうまくいったとのことだったので,容器を変えると結果が改善されるかどうか,昨日の実験1をやり直してみた.用意したのはガラスビン(左,135g),脚付きのガラスコップ(中,218g),前回も使用した磁器製のマグカップ(182g).
容器に水を入れておきあとからポットのお湯を足してみた.また,ガラスビンについては「先に湯を入れておいて後から水を足す」もやってみた.


結果は…


かえって誤差が増えてる(x_x).どうやら僕の実験で誤差が生じる理由は別の所にありそうだ.

ところで,昨日は秤に問題があるかも,と書いたけれどもメインの理由ではないかもしれない.もし秤の値のばらつきが原因だとしたら,誤差は0を中心にばらつくはずだが,水に湯を足す場合常に予想水温>実測水温となっている.

2014年3月12日水曜日

0℃の氷100gと100℃のお湯100gを混ぜると何度になるか?の続き

はじめに

0℃の氷100gと100℃のお湯100gを混ぜると何度になるか?という問題について,しばらく前にやってtwitterでつぶやいたのだけど(http://togetter.com/li/630940),おちさんのブログ(http://www.02320.net/2014/02/16/mixing_ice_and_hot_water/http://www.02320.net/2014/02/18/pouring_hot_water_on_ice/)を見てもうすこしまともに考察したいと思ってやり直してみた.ただ,相変わらず道具がしょぼいので大した進歩がないことはご愛嬌.

方法

当日の室温は15.8℃,水道水の水温は11.2℃.使用機材は磁器のマグカップ(135g),クッキング用のばね秤と棒温度計.

お湯は沸かした後ポットに保存.そのため湯の温度は100℃ではなく91~93℃くらい.
氷の温度は棒温度計ではうまく測れない.うちの冷凍庫の性能はカタログ値で-18℃以下ということなので,取り出したばかりの氷なら-18℃くらいとみてよいだろう.

水の比熱は1cal g^-1 K^-1,氷の比熱は0.5cal g^-1 K^-1,融解熱は79cal g^-1とした.

実験は以下の4通り行った.
実験1. 適当に決めた水温,水量のことなる二種類の水を混ぜる.
実験2. 冷凍庫から出したての氷にポットのお湯を掛ける.
実験3. マグカップのお湯に室内に冷蔵庫から出したての氷を入れる.
実験4. マグカップのお湯に室内に(30分くらい?)放置していた氷を入れる.

結果

実験1

分量を変えて4回行い,式(1)(後述)による予想水温と比較した.結果は以下の通り.



前回もそうだったがおちさんの結果に比べて誤差がかなりでかい.原因については後で考えることにしてとりあえずその程度の誤差のある実験だということで(前回も同じことを書いたような…進歩なし)

実験2

温度と分量を変えて3回行った.
お湯と氷がそれぞれ100gじゃないのは,一つにはマグカップでは水の量の調節が難しいこと,氷1個あたりの量が製氷皿の形状であらかじめ決まっていること,等量にすると溶けるのに時間がかかってしまうこと,などの理由による.
予想水温は融解熱を無視した場合と考慮した場合の二通り求めた.(どちらも水と氷の比熱の違いは考慮されている)



当たり前だが融解熱を無視すると全然合わない:D

試行1では融解熱を考慮した場合の予想水温がマイナスになっているが,これは熱量が足りないのに無理やり全部溶けるとして計算したため.実際,試行1ではかなり長い間かきまぜないと全ての氷が溶けなかった.最終的に溶けたのはかきまぜているあいだに熱の出入りがあったためだろう.

実験3

温度と分量を変えて2回行った.予想水温については実験2と同じ.



実験2より誤差は小さめになったが理由は不明.

実験4

試行回数がだんだん減ってることには目をつぶってほしい(-_-;というか,実はこれは偶々室内に氷を放置してたことに気が付いたのでやってみただけ…



氷の温度はとりあえず0℃としたが実際にはもっと低いだろう.

考察

前回に引き続き,氷とお湯を混ぜる問題で,融解熱を無視できないことが確認できた.おちさん風に言えば「0℃の氷1gは-80℃の水と同じ」だから当然の結果だ.

実験1の段階ですでに誤差が5℃ほどあるのはなんでかというと,まずは秤の誤差が大きい.というのも,うちのばね秤はフリクションがでかいので,叩いて測りなおすと10gくらい値が変わることなんて日常茶飯事なのだ(あっでも料理作るのには重宝してます念の為).
ちなみに,質量M_1, 水温T_1の水と質量M_2,水温_T2の水を混ぜたときの温度をTとすると,


…(1)


だから,質量と水温の測定に起因する誤差を

…(2)

で見積もることができる.実験1-1の場合,仮にM_1の測定時の誤差が10gだったとするとそれに起因するTの誤差は2℃程度ということになる.M_2にも同程度の誤差が含まれているとすれば併せて4℃くらいずれてもおかしくない(もちろんお互いに誤差を打ち消しあう可能性もあるけど).

また,開放系で実験していることの影響も無視できないだろう.今回気になったのはマグカップとの熱のやり取り.陶磁器の熱容量は(理科年表のガラスや岩石の値から類推するに)水の10%程度はあるだろうし,実験の最中に結構マグカップの温度も変化していた.

実験3でお湯の温度が低いのは,ポットから移す時に温度が下がったから.実験2ではポットの中で湯の温度を測ってからマグカップに注いでいるので,実験3より精度が低くなるのではないかと予想した.実際誤差は大きかったが,水温や質量を揃えていないのでほんとにそれが原因と言っていいのかどうかよくわからない.

なお,結露も実験の結果を大きく左右するけれども,今回は(実験2-1を除き)水温が全体に高めだったためか,結露はほとんど見られなかった.

おわりに

次はまじめにやる.